「声を出さなきゃ」と分かっていても、いざピッチに立つと声が出ない選手は少なくありません。
実は、声が出せない一番の原因は気持ちの弱さではなく「言葉の型」を知らないことにあります。
自分自身も、声を出す型を知らなかった頃は同じように黙り込んでいました。
この記事では、恥ずかしくならない声かけの型を、体の向きやタイミングも含めて場面別に紹介します。
読み終える頃には、次の練習で一言目を出すハードルがぐっと下がっているはずです。
【声出し】恥ずかしさの正体は「準備不足」
声が出せない一番の原因は、性格や気持ちの弱さではなく「その場で言葉を組み立てようとして間に合っていないこと」にあります。
言葉が決まっていないと、頭の中で考える作業が発生し、その間にタイミングを逃します。逃した状態で無理に声を出すと、間の悪さが恥ずかしさとして感じられます。
逆に、あらかじめ言葉が決まっていれば、考える間を挟まず声が出ます。
部活の試合中、「フリー」と「空いてる」のどちらを言うべきか迷い、パスの機会を自分は何度も逃していました。
先輩から「フリーの一言でいい」と教わってからは、迷う作業がなくなり、声が出るようになりました。
型があると迷いが消え、迷いが消えると声が出る
型を持つと恥ずかしさが減るのは、迷う時間がなくなり、声を出すまでの間が短くなるからです。
恥ずかしさの多くは「変なことを言ってしまうかもしれない」という不安から生まれますが、型があれば迷わず判断できるため、不安が入り込む隙自体がなくなります。
ボールを持つ味方が孤立している場面で、型を持っている選手は「サポート!」と声を出しながら同時に体を寄せます。
声と動きが同時に出るため、迷いを挟む間がありません。
型を決める前は、「サポート」と言うべきか動きのみで示すべきか自分も迷い、結局どちらも中途半端になっていました。
型を一つに決めてからは、声と動きが同時に出るようになりました。
恥ずかしくならない声かけの型
ここからは、実際にどんな場面でどんな言葉を使えばいいのかを、体の向きやタイミングまで含めて具体的に見ていきます。
まずは次の四つの場面から練習に取り入れてみてください。
マークは声より先に体を向ける
相手選手が味方の背後に入ってきた瞬間に「〇〇番マーク!」と一言のみ伝えれば十分です。
誰に向けた声か分かることで、周囲からの「何を言っているか分からない」という反応が減り、恥ずかしさも軽くなるからです。
体を半身にして視線と声を同時に相手の方向へ向け、「マーク!」と伝えます。名前や背番号が分からなければ「後ろ!」でも十分です。
自分は高校2年生の練習試合で、目線だけで合図が伝わっていると判断し、声に出さなかったことが原因で失点につながった経験があります。
サッカーセンターバックの危険察知力は視線の順番と練習で鍛えられる
手を挙げればフリーは伝わる
味方がマークを外してスペースに顔を出した瞬間、ボールを持つ選手に向かって「フリー!」と一言伝えれば十分です。
味方がどこに動いたかはボールを持つ選手からは見えづらく、声で補うことでパスの選択肢が広がるからです。
手を軽く上げながら「フリー!」と声を出します。
手を挙げることで、声が届きにくい距離でも意図が伝わりやすくなります。
サイドチェンジ級の距離で声のみ出したときは自分もパスが通らず、手を挙げながら「フリー!」と伝えたときは同じ距離でもパスがすぐに届きました。
切り替えは1秒が勝負
ボールを奪われた瞬間や逆に奪った瞬間は「切り替え!」の一言でチーム全体の意識をそろえられます。
切り替えの瞬間は声を出す本人も気持ちが動いているため、実は一番声が出しやすい場面だからです。
ボールの位置が変わった直後、1秒以内に「切り替え!」と声を出します。
後半終盤で足が止まりかけていた場面、切り替えの声が出せなかったときは相手の攻撃を許し、声を出せたときはチーム全体の戻りが早くなったと自分は感じています。
【サッカー】試合中にミスを引きずらない切り替え方|原因と5秒の対処法
サポートは動きが声を後押しする
味方がボールを持ったまま孤立している場面では、「サポート!」と声をかけながら自分から近づく動きを合わせれば十分です。
声のみで終わらせず体も一緒に動かすことで、相手にも味方にも意図がはっきり伝わるからです。
声を出すのと同時か、声を出した直後0.5秒程度で体を寄せます。
最初はタイミングを気にせず声のみ出していましたが、マークなら2秒、切り替えなら1秒という間を自分なりに意識してからの方が、味方にずっと伝わりやすくなりました。
声の内容以上に、出すタイミングの早さが伝わり方を左右すると実感しています。
【状況別】場面によって声の出し方は変わる
型を覚えても、状況によっては声の出し方に迷う場面があります。よくあるケースを見ていきます。
◆声を出したのに味方に届かなかったとき
声量ではなく、方向がずれている場合があります。
声を出す前に、伝えたい相手の顔を一瞬見てから声を出すと、体の向きも自然と相手側に定まり、声が届きやすくなります。
◆同学年やレギュラー争いの相手に声をかけにくいとき
気まずさは、声の内容ではなく関係性から生まれています。
プレーに関する一言(「マーク!」等)は指示ではなく事実確認に近いため、関係性を気にせずそのまま出して問題ありません。
◆練習中は出せるのに試合になると声が小さくなるとき
緊張で喉に力が入り、声量が落ちている状態です。
声を出す前に一度肩の力を抜く動作を挟むと、練習時に近い声量に戻りやすくなります。
練習はポジションに合わせた型ひとつから
自分が一番出番の多いポジションに合わせて型を選ぶと、無理なく練習を続けられます。
実際のプレー機会が多いポジションほど型を使う場面自体が増え、練習の回数を自然に確保できるからです。
4つの型を一度に試そうとすると、出番の少ない型は使う機会がないまま忘れがちです。
ディフェンス寄りの選手が「マーク!」を選んだ場合、相手選手が視界に入るたびに体を半身にして声を出す、という動きを1試合の中で何度も繰り返すことになります。
攻撃的なポジションの選手が「フリー!」を選んだ場合は、味方がスペースに顔を出すたびに手を軽く上げながら声を出す、という動きが自然と積み重なっていきます。
当時のポジションがディフェンスだったこともあり、自分は「マーク!」から練習を始めました。
出番の多さのおかげで1試合の中で何度も声を出す機会があり、思っていたより早く体に馴染みました。
型は一気に増やさない
型は「切り替え!」→「フリー!」→「マーク!」の順に増やしていくと、無理なくステップアップできます。
声を出すハードルが低い場面から慣らしていくことで、恥ずかしさを感じる前に体が反応する感覚を先につかめるからです。
焦って全部の型を一度に覚えようとすると、かえって考える時間が増え、声が出にくくなります。
以下の順番で型を増やしていきます。
- 切り替え 1週間ほど練習で使い、口に出す感覚に慣れます。
- フリー 味方がスペースに顔を出した瞬間に、手を上げながら声を出す動きを練習します。
- マーク相手選手に視線を向けながら声を出す動きまで一通り身につけます。
最初から大声を出そうとして空回りしていた時期が自分にもありましたが、コーチから「3メートル以内の味方に届けばいい」と言われてからは無理なく声が出るようになりました。
3メートルという距離はパスを出す相手との距離感に近く、目安として意識しやすいと感じています。
【体験談】二つの型のみで声が出せるようになった話
自分が中学生の頃、味方がフリーになった瞬間に声を出せず、そのままパスが通らず相手にボールを奪われた場面がありました。
その後、練習試合の映像を見返すと、ボールを持つ味方の方をずっと見ているのに、口がほとんど開いていないことに気づきました。
頭の中では「フリーだ」と分かっていたのに、視線と口の動きがまったく連動していなかったんです。
この癖に気づいてから、声を出す前に一瞬口を開く動作を意識して練習しました。
3週間ほど続けたところ、味方から「声が届くようになった」と言われる場面が増えました。
この経験から学んだのは、恥ずかしさの原因が気持ちの問題のみとは限らないという点です。
声出しでよくある質問
型を練習に取り入れる中で、選手からよく聞かれる疑問をまとめました。
まとめ|声出しの恥ずかしさは型で消せる
声出しの恥ずかしさは、性格の問題ではなく言葉の型を持っていないことが原因です。
型があれば迷う時間が減り、迷いが減れば声は自然と出やすくなります。
マーク・フリー・切り替え・サポートという短い一言から始めれば、動きをイメージしながら練習に取り入れられます。
実際に言葉を絞って練習した体験からも、この方法には効果が期待できます。
まずは次の練習で、この中の一言を意識して声に出してみてください。


コメント